愛知県内で初の民間による重度心身障害児入所施設が一宮市に開設されることが決まった。こうした施設の人口当たりの病床数が愛知は都道府県別で最低だが、県は、この施設への支援や県施設の新設・改築などで、2015年度までに現在の382床から630床に増やす計画。急ピッチでワースト脱却を目指す。
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20131015134250056
今週、このニュースを読んで、もやもや感があった。そして、だんだん絶望感を感じてきている。
新聞記事の書き方も、いいことのように書いている。
入所施設がいいはずがないと思っている。
それは、歴史や福祉を少しかじれば分かるはずだ。
あくまで推測だが、重度心身障害児だから、どこかの親御さんとかが要望を出したんだろう。
実現したということは、議員さんとかも巻き込んでいるのかもしれない。
そこまでの経緯は分からないが、何か深い事情や思いがあるのか。
本人たちは、言葉を出せないから悲しい。
本当に子どものためになるのか?
障害児は 障害者になるから、また新しい施設がそのうちできるだろう。
大規模施設で、いいケアができるのか?
これがベストな解決策なのか?
時代に逆行しないのか?
心底がっかりした。そして、無力さを感じた。
医療的ケアが必要な私から見れば、私でさえ将来的にこういう施設にぶち込まれる可能性が出てきたということだ。ないとは思うけど、全くないとは言い切れなくなった。
最近の医療的ケアの状況については、正直、絶望していたけど、もっと深い闇に入っていくようだ。
あと、こういうことされると、逆に考えれば、一部の人は「家族介護」を今よりもっと否定してくるだろう。
以下、参考資料です。
投稿 by Hiromi Kuriki.
16日に大村秀章・愛知県知事の定例記者会見がありました。主なやりとりは次の通りです。
新たな重症心身障害者施設の整備についてです。
本県では重症心身障害者が利用できる施設は、他の類似府県に比べ少なく、身近な地域で医療や療育などお支援が受けられる態勢づくりが喫緊の課題です。
一方、本県での現在の4施設すべてが国公立により設置となっていますが、全国的には、重症心身障害者施設の約半数は民間設置となっております。
こうした状況をふまえ、幅広く県内外の211法人に施設整備に対する協力要請と意向調査を行った結果、県内で初めての民間による重症心身障害者施設の整備が進められることになりました。
――重症心身障害者施設の整備を進めるということですが、県内でまだ空白の地域で今後も整備を検討するのですか。
そういうことですね。
――整備に民間参入を促すために、どんなことを考えていますか。
整備で課題になるのが用地の確保です。県有地や市町村の公有地を活用しながら、意欲のある医療法人、社会福祉法人と相談したい。医師や看護師、福祉の専門職らマンパワーの確保が一番のハードルになる。
そこを法人に何とかクリアしてもらい、我々行政がしっかりバックアップして、引き続き整備を進めたい。県有地はそれほど高くないが、個々の施設整備、経営の状況について(地代の)減免措置はいくらでもできる。個別にご相談したい。
――重症心身障害児施設の人口あたりの定員数は、愛知県は全都道府県で今年は最下位です。これは何年も続いていたのですか。
さかのぼったら、ずっとだと思う。
――これまでなぜ改善できなかったのですか。
もともと国立病院の名古屋、豊橋のところにあったのに加えて、県が名古屋市につくって、春日井にどかんとつくった。「(民間でなく)県がやる」との意識があったのは事実。春日井が老朽化するなか、巨額のお金もかかり、新築、改築に踏み切れなかったというところはあった。平成23年度に国の基金を確保できたので進んだ。
http://www.asahi.com/articles/CMTW1310162400007.html
新たな重症心身障害児施設(医療型障害児入所施設)の整備を進めます
http://www.pref.aichi.jp/0000065633.html
障害者施策が「施設福祉」から「地域福祉」へと進む中、現在、愛知県の重症心身障害児施設「コロニーこばと学園」でも、入所者の地域生活移行を進めています。一方、地域や在宅での生活が維持できない方に対しては、できるだけ身近な地域で適切な医療と介護を提供できる施設が必要となっています。
— 大村秀章 (@ohmura_hideaki) October 16, 2013
こうした中、現在愛知県内で重症心身障害児(者)が利用できる施設は、国と県立の4施設と少なく、その体制づくりが課題となっています。このため、愛知県では、岡崎市にある「第二青い鳥学園」に90床の重症心身障害児施設の整備を進めるとともに、名古屋市でも新たな施設整備が進められています。
— 大村秀章 (@ohmura_hideaki) October 16, 2013
しかしながら、全国的には、重症心身障害児施設の約半数は民間が設置していることから、今般、愛知県においても幅広く県内外211法人に対して協力要請と意向調査を行いました。この結果、本県初の民間による整備が、一宮市内の社会医療法人「杏嶺会」により進められることに決定しました。
— 大村秀章 (@ohmura_hideaki) October 16, 2013
コメント
コメント一覧 (2)
吸引の件についてはご連絡が遅くなり申し訳ありません(近く動きがありそうなのでご連絡出来ると思います)。
このニュースについて、同様に気になるところがありましたので、一言コメントしていきます(ちなみに、私自身は、入所施設=全てダメというよりも、多くの入所施設における処遇や対応に問題はあるものの、入所施設がもつ特徴や機能にマッチする、それを必要とする障害児者はいるだろう、という考え方です)。
愛知県が重度障害児施設を増床するに至った詳しい経緯については知りませんが、この問題は、障害福祉の観点とともに、児童福祉の観点からも考える必要があります。
18歳未満の児童の入所については、障害の有無にかかわらず、都道府県にその権限があります。障害福祉における様々なサービスのほとんどが市町村に権限移譲されていますが、唯一「障害児」の「入所」だけは県の事務です。
そして、児童を養育できる親が健在であるにもかかわらず入所する(させられる)児童も一部にはいますが、実際には家庭での養育に欠ける(親の不在や虐待等)ために入所を余儀なくされるケースがほとんどだと思います。
障害のない児童でさえ、里親制度や公共機関による養子あっせん制度がほとんど機能していないため、養育に欠ける場合は入所となるケースがほとんどです。特に障害の重い重症心身障害児の場合、医療的ケアの必要性も踏まえると、人員や設備のある施設に入所した方が良い(あるいはやむをえない)と判断されるケースも多々あると思います(現行のグループホーム・ケアホームは15歳未満は利用できませんから)。
例えばこばと学園では、入所者のほとんどが18歳を超えた過齢児であり、本当の児童は数人です(平成24年に児童福祉法が改正されるまでは、児童の施設に18歳を超えても入所し続けることが可能だった)。定員でみても全国最下位でしたが、実際のキャパシティはそれを圧倒的に下回っていたというのが実情です。
児童の施設を退所した後の受け皿が地域にないことも問題ですが、今の愛知県における重症心身障害児(のうち家庭での養育が困難な子)のおかれている現状は深刻なものがあります。児童相談所の職員もおそらくは難儀しながら、時には県外の施設へ入所させるなど、対応に苦慮していたと思います。
今の入所施設での処遇がよいとは言いませんが、現実問題として入所以外の選択肢がない重度心身障害児の存在を考えると、今回の県の対応はむしろ遅きに失した感さえあります。
ただし、18歳を超えた場合の受け皿については、全くの未知数です。現在の法律では、18歳を超えた障害者の入所については、すべて市町村が実施主体となるため、おそらく愛知県は18歳以降のことは「考えていない=すべて市町村に丸投げ」だと思われます。今の市町村はありとあらゆるサービスの権限だけが移譲され、財源がまったくこない状況に置かれているため、増え続ける財政負担を抱えながら、県の施策の尻拭いをすることは難しいと思いますが…。